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    <title>石井晃のＫＧファイターズコラム「スタンドから」</title>
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    <description>元朝日新聞編集委員・石井晃氏によるＫＧファイターズに関するコラムです。</description>
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    <itunes:summary>元朝日新聞編集委員・石井晃氏によるＫＧファイターズに関するコラムです。</itunes:summary>
    <itunes:keywords>ファイターズ　KG　ＫＧ　関西学院　アメリカンフットボール　FIGHTERS　ＦＩＧＨＴＥＲＳ　アメフット　アメフト　　大学スポーツ　カレッジスポーツ　KWANSEI　ＫＷＡＮＳＥＩ　ＫＧファイターズ　石井晃　朝日新聞</itunes:keywords>
    
    <itunes:author>コラム「スタンドから」</itunes:author>
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      <title>（６）背中で勝負</title>
      <pubDate>Sat, 12 May 2012 14:34:18 +0900</pubDate>
      <description>　新聞社で若い人たちと仕事をしていると、折りにふれて「人を育てるのは難しい」と実感する。　読者がすらすら読める文章が書けない。これはニュースだ、と思うようなことでも、即座に反応しない。怒るべき時に怒らない。読者と喜怒哀楽をともにする感受性がない。何より向上心がない。　こう書くと、ろくでもない怠け者ばかりのように誤解されるかもしれないが、その実像に接すると、決してそんなことはない。みんな人間としてはいい子ばかり。日常の会話をしていても、いやな気持ちになることがない。取材相手にも..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　新聞社で若い人たちと仕事をしていると、折りにふれて「人を育てるのは難しい」と実感する。<br />　読者がすらすら読める文章が書けない。これはニュースだ、と思うようなことでも、即座に反応しない。怒るべき時に怒らない。読者と喜怒哀楽をともにする感受性がない。何より向上心がない。<br />　こう書くと、ろくでもない怠け者ばかりのように誤解されるかもしれないが、その実像に接すると、決してそんなことはない。みんな人間としてはいい子ばかり。日常の会話をしていても、いやな気持ちになることがない。取材相手にもかわいがられていることは、彼らの書いてくる原稿からも伺える。<br />　だが、新聞記者を45年も続けて、それなりにこの仕事に愛着と誇り、自負と自信を持っている人間の基準で見ると、足りないことばかりである。「新聞記者というより、人間として必要なのは向上心。昨日より今日、今日より明日。一歩でも半歩でも前に進むように努力することが肝心」「努力の成果はなかなか目には見えない。でも、そこであきらめたらおしまい。懸命に足を動かし続けていたら、ある日突然、一段上の景色が見えるようになる。ある日気がつけば、こんなに高いところまで登ってきたんだ、と実感できる時が必ずある」というようなことを話し続け、懸命に激励しているのだが、それがなかなか通じない。<br />　入社して間もない記者はそれほどでもない。昨日できなかったことが今日はできるようになった、１カ月前には２時間もかかった原稿がいまは１時間で書けるようになった、と成長を実感する機会が多いからだろう。人は、自らの成長の手応えをエネルギーにして、さらに成長していく。<br />　ところが、それなりに仕事を覚えてきたと自分なりに安心している中堅からベテランにかけての記者たちになるとそうはいかない。気持ちでは懸命に仕事に取り組んでいるのだが、その成果がなかなか実感できない。逆に、手を抜いた取材でも、そこそこの記事は書ける。その結果、努力してもしなくても、結局は同じこと、と思うようになったとしても不思議ではない。<br />　僕の目から見れば、今日は昨日の続きでよし、としている記者と、今日は昨日より一段上の記事が書きたいと思って努力する記者の差は歴然としているのだが、幸か不幸か、その成果は即座には現れない。だから、よほど心してかからないと、昨日の続きでよしとする気分が蔓延する。その結果、職場全体を怠惰な雰囲気が支配し、気がつけば、手の施しようがなくなってしまう。<br />　そういう事態に陥らないように、老骨にむち打って「人間は成長が命。昨日より今日、今日より明日、という気持ちだ何より大切」と、若い人たちを励ましているのだが、なかなか成果につながらない。他者が「励ます」だけでなく、本人の内部からふつふつと「やる気」が出てこない限り、向上心を喚起させることにはならないのだろう。<br />　大阪に「やる気とお日さんは出すもんやない。出てくるもんや」という言い方がある。「明日はやったる」「今度こそがんばろう」と自分に言い聞かせているうちは本物ではない。「やる気はあって当たり前」「がんばるのは標準」。それを意識せず、周囲からあれこれいわれる前に、自主的に課題に取り組めるようになって初めて成果につながる、という感覚を表現したものだろう。僕はこの言い回しが気に入っている。<br />　職場の話から、とりとめもないことをだらだらと書いてきたが、ここからが本題である。ファイターズの諸君も「やる気があって当たり前」「がんばるのは標準」という感覚を是非とも身につけてほしい。コーチや上級生にいわれて「やらされる」のではなく、自らが「俺がやる」「男は黙って、背中で勝負」という感覚で練習に取り組み、試合で力を発揮するのである。<br />　実際、春からの練習や試合を見ていると、そういう「背中で勝負」という姿を見せている上級生が何人か存在する。ＷＲの南本、小山、ＬＢの川端……。決して口数は多くないが、彼らの見せる一つ一つのパフォーマンスから、今季にかける「気持ち」が伝わってくる。そういう選手をお手本に、それぞれの構成員が自らのやる気を引き出してほしい。<br />　いまは少数かもしれないが、彼らが特別の存在ではなく「ファイターズの標準」になったとき、このチームは「えげつないチーム」に成長を遂げるに違いない。<a name="more"></a>

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            <category>in 2012 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/55647493.html</link>
      <title>（５）生涯の友</title>
      <pubDate>Thu, 03 May 2012 21:39:39 +0900</pubDate>
      <description>　先日のコラムで紹介した「2011年度卒業生文集」の後記に、小野宏コーチが次のような挿話を書いている。ファイターズの同期生で、現在は奈良県御所市の市長を務めている東川裕氏を巡るエピソードである。　小野コーチはＱＢ、東川氏はトレーナー。役割は違ったが、ともにファイターズで４年間を過ごし、５年生のときは二人とも初めての５年生コーチを務めた。　東川氏は卒業後、家業の酒屋を継ぎ、そのかたわら街づくりやＮＰＯ活動に取り組んでいたが、４年前、周囲から市長に担ぎ出され、全国でも北海道・夕張..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　先日のコラムで紹介した「2011年度卒業生文集」の後記に、小野宏コーチが次のような挿話を書いている。ファイターズの同期生で、現在は奈良県御所市の市長を務めている東川裕氏を巡るエピソードである。<br />　小野コーチはＱＢ、東川氏はトレーナー。役割は違ったが、ともにファイターズで４年間を過ごし、５年生のときは二人とも初めての５年生コーチを務めた。<br />　東川氏は卒業後、家業の酒屋を継ぎ、そのかたわら街づくりやＮＰＯ活動に取り組んでいたが、４年前、周囲から市長に担ぎ出され、全国でも北海道・夕張市に次いで財政状況の悪かった市政の運営を託された。自分の給与を大幅に下げ、退職金も返納。職員の給与も下げ、各種補助金も大胆にカットした。市民から怒鳴りこまれ、議会ではつるし上げられ、大変な苦労をしながら、ようやく「財政健全化団体」から抜け出すところまでこぎ着けた。<br />　そんな東川氏が市長という孤独で重い職責を遂行するにあたり、いつも心掛けていたことがあるという。それは、小野コーチの後記から引用すれば「苦しい決断は自分一人でするしかない。あれもこれもと迷ってばかりです。そんなとき、いつも川原（同期の主将）やったらどう判断するやろか、小野やったらどう考えるやろか、と考えます」ということだった。<br />　このエピソードを読んだとき、思わず「生涯の友」という言葉が浮かんだ。自分がもっとも苦しい時に、友達の存在が確かな実感となって脳裏に浮かぶ。「川原ならどう判断するか」「小野ならどう考えるか」<br />　こうした問いを自らに投げかけた瞬間、迷いは消える。なぜなら、ファイターズで苦楽をともにしたとき、彼らはいつも、こうした問いに的確な回答を示してくれた「友達」であるからだ。「川原が判断するのなら間違いはない」「小野がこう答えるのなら、それに従えばいい」。そういう信頼があるからこそ「問いを投げかけ」ているからだ。<br />　同期といっても、ファイターズで活動するのは、基本的に４年間。実質的には３年半ぐらいのものだろう。もっと厳密にいえば、自らがチーム運営に責任を持つ４年生の１年間だけといってもよい。その短い期間を互いに支え、互いに励まし、互いに叱咤し、互いに目標達成を目指して精進する中で「生涯の友」と呼べる関係が生まれる。<br />　しかし、注意しなければならないことがある。たまたま、同じ学年だったとか、同じポジションだったとかいうだけでは、そうした密度の高い関係は生まれない。同好の士が集まり、愉快に楽しい時間が過ごせればそれで目標達成、というサークル活動と、常に日本１の座を目指し、どんなに苦しい状況にあっても、その目標を完遂することに学生生活をかけるファイターズの活動とは、自ずから違いがあるのだ。<br />　目標が高ければ、要求される内容も高度になる。体力の養成から技術の習得、戦術の理解から精神力の錬磨、チームの運営や下級生の指導、果たさなければならないことは、山ほどある。監督やコーチと信頼関係を築き、卒業生や家族の期待にも応えなければならない。もちろん学業もおろそかにできない。<br />　毎日毎日、汗にまみれ、体力の限界まで自分を痛めつけ、それでも思い通りにプレーできないことの方が多い。チームメートやライバルチームの選手らが簡単にこなしている技法をマスターできずに、悔しい思いをすることも多いだろう。仲間からののしられ、コーチから罵声を浴びて、うちひしがれることもあるだろう。<br />　そんな毎日に耐え、日付が変わればまたグラウンドに顔を出す。そしてまたもや苦しい練習に挑んでいく。<br />　そういう活動の中で、一番頼りになるのは何か。もっとも、心が解放されるのは、どういうときか。<br />　「生涯の友」はそういう場面で姿を現す。「こいつのためならトコトンやったる」「あいつ一人につらい目はさせない。俺がカバーしてやる」「俺があいつを日本１の主将にする」。置かれた立場で言葉は異なるだろうが、一人一人に「生涯の友」という存在がくっきりとした輪郭を持って立ち上がってくるはずだ。<br />　「雨の日の友」という言葉がある。晴れた日、つまり物事がうまくいっているときには、相手の方から寄ってくる。けれども、落ち目になったときには誰も見向きもしない。そんな雨天の日にも快く声をかけてくれるのが本当の友である、というような意味である。<br />　組織がスムーズに運営され、業績も右肩上がりで伸びているとき、個人的にいえば順調に出世の階段を上っているとき、そんなときには周囲のみんなが友人のように振る舞う。けれども、どこかでつまづき、具合が悪くなったときには、そういう友人はいつの間にか姿を消してしまう。世間にはよくあることである。<br />　そんな友人関係をいくら築き上げても意味はない。ファイターズで活動する以上、雨の日にも互いに傘を差し掛けることのできる友人、生涯の友を得るための努力を日々続けてほしい。それは、汗と涙にまみれ、身も心もさらけ出した戦いの果てに、手にすることができるものだと僕は信じている。<a name="more"></a>

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            <category>in 2012 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/55528455.html</link>
      <title>（４）視点の違いが評価を変える</title>
      <pubDate>Thu, 26 Apr 2012 22:38:37 +0900</pubDate>
      <description>　21日の土曜日は、明治大学との今季開幕戦。「ＫＧ,ＢＯＷＬ」と名付け、新入生歓迎の意味を込めた試合だった。　木曜日に理髪店に行き、髪を切って気分を一新し、金曜日は上ヶ原のグラウンドで試合前の練習を見学。ついでに上ヶ原の八幡神社にもお参りして、勝利と選手の無事を祈願。準備万端整えて土曜日は元気よく王子スタジアムへ。　いよいよシーズンが始まる。天気は晴れ。スタジアムを取り囲む木々の若葉は一斉に芽吹き、六甲山と摩耶山から吹き下ろしてくる風は肌に心地よい。「薫風香る」という表現がぴ..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　21日の土曜日は、明治大学との今季開幕戦。「ＫＧ,ＢＯＷＬ」と名付け、新入生歓迎の意味を込めた試合だった。<br />　木曜日に理髪店に行き、髪を切って気分を一新し、金曜日は上ヶ原のグラウンドで試合前の練習を見学。ついでに上ヶ原の八幡神社にもお参りして、勝利と選手の無事を祈願。準備万端整えて土曜日は元気よく王子スタジアムへ。<br />　いよいよシーズンが始まる。天気は晴れ。スタジアムを取り囲む木々の若葉は一斉に芽吹き、六甲山と摩耶山から吹き下ろしてくる風は肌に心地よい。「薫風香る」という表現がぴったりの天候だ。<br />　いつもの席に着き、いつもの観戦仲間と試合前の練習を眺めていると、それだけで身も心も高ぶってくる。自分が試合をするわけではないけれども、グラウンドに降りた選手がみな親しい身内、かわいい子どもたちのように思えるからだろう。これから来年１月３日までの長い戦いの火ぶたが切られる、と考えるだけで、気分が高揚する。<br />　さて、試合である。先発メンバーを見て驚いた。昨年の甲子園ボウルとはがらりとメンバーが入れ替わっている。ディフェンスラインはＬＢから川端がディフェンスエンドに回り、残る３人は岡部、中前、国安という２、３年生のメンバー。ＬＢの西山、ＤＢの保宗、高も、昨年は交代メンバーだった。<br />　オフェンスはもっと新顔が多い。甲子園ボウルでスタメンだったのはＯＬの友國とＷＲ梅本だけ。残りは全員が交代メンバーだった。ＯＬの月山やＱＢの斎藤はこの春、２年生になったばかり。キッカー、パンターの堀本も、昨年までは大西君の陰に隠れて、ほとんど出番のなかった選手だ。<br />　４年生が卒業していったという事情を考慮しても、ここまで多くの新しいメンバーが先発するとは思っていなかった。意外でもあったが、同時にまた「冬場に努力したメンバーの力を試合で試してみたい」という監督やコーチの強い意志を感じた。<br />　とはいえ、これで関東の強豪、明治大学の強力なラインと対等に戦えるのだろうか、という不安がよぎる。というのはほかでもない。前日の練習では、試合に備えたチーム練習をほとんどせず、もっぱら基本的なスキルを身につける練習に力を入れているのを見てきたばかりだったからだ。<br />　ファイターズのキックで試合開始。立ち上がりはファイターズがＤＢ高のファンブルリカバーやＬＢ坂本のインターセプトなど守備陣の踏ん張りで押し気味に試合を進めた。だが、急所で反則が続出。ＱＢ斎藤からＷＲ木戸へのＴＤパスをふいにしたりして、両軍とも無得点。<br />　ところが、第２Ｑ開始早々、ファイターズのパントが相手守備陣にブロックされ、そのままＴＤ。思わぬ形で相手に主導権を奪われた。その後も互いにターンオーバーを繰り返す雑な攻撃が続いたが、梶原弟のファンブルリカバーで得た好機にＫ堀本が40ヤードのフィールドゴールを決め、ようやく試合が落ち着いた。ファイターズは前半終了間際に斎藤からＷＲ梅本、南本、大園へのパスが次々ヒット。相手ゴール前に陣地を進め、最後はＲＢ榎本が２ヤードを走り切ってＴＤ。10－７で前半を折り返した。<br />　ファイターズは後半、２度目の攻撃シリーズで、ＲＢ野々垣のランと斎藤から南本への長いパスで相手ゴール前に迫り、仕上げは斎藤からＷＲ森本への15ヤードＴＤパス。その直後、明治の攻撃シリーズでＴＤを返されたが、ファイターズもすぐさまＲＢ後藤が左オープンを走り切ってＴＤ。相手の反撃をＤＢ森岡のインターセプトで断ち切り、主導権を握ったままで試合終了。終わって見れば29－14でファイターズの勝利だった。<br />　さて、この結果をどう評価するか。<br />　「ライスボウルの雪辱を」「今年こそ社会人に勝って日本１に」という視点で見れば、攻守ともに物足りない点がいくつもあった。試合後のハドルでも副将の金本君が「こんな試合してて、日本１になれるんか」と大きな声で檄を飛ばしていた。梶原主将も「試合に出ているメンバーはともかく、ベンチの雰囲気が悪すぎる。チームが一丸になって戦っている姿が見えない」と厳しい表情だった。<br />　では、春の試合は新しい戦力を試す場という視点で見ればどうだろう。実のところ、鳥内監督や大村コーチは、試合の前日になっても「今季は試合前に特別な準備はしない。春は、普段やっていることがどこまで強い相手に通用するか、それが見たい」と話していた。<br />　その視点で見れば、攻守とも新しい戦力の芽生えがあった。２年生に限ってもＯＬの月山、ＲＢ吉澤は十分使えそうだ。ＬＢの小野と西山も動きがよいし、ＤＢには高校時代から実績のある国吉のほか、バスケットボール部から転じてきたアスリート森岡の動きが目についた。村岡も経験を積めば使えそうだ。ＤＬの岡部と梶原弟の高等部コンビの動きもよい。これからもどんどん試合に出て、経験を積んでほしい。<br />　もちろん、斎藤と前田という２人のＱＢにも期待がかかる。昨シーズン、急速に成長した４年生の畑と比較すれば、すべてにおいて見劣りするが、経験を積み、試合の雰囲気に慣れてくれば、持っている才能をもっともっと発揮してくれるだろう。それはＲＢ米田や松岡弟にもいえることだ。<br />　そう考えると、初戦の結果だけで、今季のファイターズのことを判断するのは早計だ。不満もあり、期待もあるという、ニュートラルな立場で今後を見守りたい。<a name="more"></a>

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            <category>in 2012 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/55356030.html</link>
      <title>（３）ファイターズ・デー</title>
      <pubDate>Wed, 18 Apr 2012 08:52:57 +0900</pubDate>
      <description>　春季シーズンの開幕を前に14日、上ヶ原の第３フィールドでファイターズ・デーが開かれた。午前はファイターズの紅白戦、午後はブルーナイツ、関西学院初等部ファイターズ、中学部ファイターズ、高等部ファイターズ、ＯＢチーム、シニアファイターズ、それにファイターズに入ったばかりのフレッシュマンのチームが参加して、フラッグフットボールとタッチフットボールの試合があった。　前夜からの雨もあがり、お目当ての紅白戦が始まるころには、初夏のような爽やかな日差し。紅白戦は２年生ＱＢ斎藤君が率いるブ..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　春季シーズンの開幕を前に14日、上ヶ原の第３フィールドでファイターズ・デーが開かれた。午前はファイターズの紅白戦、午後はブルーナイツ、関西学院初等部ファイターズ、中学部ファイターズ、高等部ファイターズ、ＯＢチーム、シニアファイターズ、それにファイターズに入ったばかりのフレッシュマンのチームが参加して、フラッグフットボールとタッチフットボールの試合があった。<br />　前夜からの雨もあがり、お目当ての紅白戦が始まるころには、初夏のような爽やかな日差し。紅白戦は２年生ＱＢ斎藤君が率いるブルーチームと、同じく２年生ＱＢ前田君がリードするホワイトチームの対戦。けがで調整中の部員や就職活動中の４年生は参加できなかったが、その分、普段の試合ではあまり見ることのできないメンバーが多数出場することができたので、観戦しているファンとしてはうれしい限りである。<br />　前後半、各20分の２クオーター制。互いに50ヤード地点から攻撃し、激しいタックルも禁止という「安全第一」のルールだったが、そこは格闘技。試合に熱が入るにつれて、プレーも激しさを増す。前半は、ブルーチームがゴール前９ヤードからＱＢ斎藤君が左オープンに走って先制のＴＤ。ホワイトチームの反撃をフィールドゴール１本に抑えて７－３でリード。<br />　後半に入るとホワイトチームも反撃。互いにＴＤ１本を奪い合うシーソーゲームとなったが、最後はホワイトチームの前田君がＷＲ南本君にＴＤパスを決め、17－14で逆転勝ち。紅白戦ならではの和やかな雰囲気の中で、新戦力の台頭と試合の楽しさを味うことができた。<br />　午後のタッチフットとフラッグフットの試合は、さらに和やかな雰囲気。シニアファイターズチームでは、小野コーチがＱＢとして出場、びしばしと正確なパスを決める場面があったし、フレッシュマンチームでは、期待の新人が次々に登場。日頃の練習とはひと味違う楽しげな表情で伸び伸びとプレーしていた。ともにＫＧファミリーが一堂に会し、フットボールを楽しむファイターズ・デーならではの場面。選手の素顔を見ようと駆けつけたファンクラブの人たちも満足げな様子だった。<br />　本当はその模様を、もっと詳しくお伝えしたいのだが、実は試合の様子をほとんど見ていない。スタンドのいすに腰掛け、主将の梶原君や副将の川端君らと、延々２時間近く話込んでいたからだ。普段、練習を見る機会は多いが、彼らは練習に身を入れている。当然、ゆっくり話す時間はない。けれども、この日は紅白戦の後は、選手たちも比較的手が空いている。そこで、タッチフットの試合を見ながら、今季のチームの運営やリーダーとしての心構えなどについて、彼らの話をじっくりと聞いていたのだ。<br />　彼らとの話の内容は、チーム内部のことなので、ここでは省略。<br />　代わりに夕方から、今春チームを巣立っていった前主将の松岡君とＤＢリーダーだった香山君と会食しながら話したことの一端をご紹介しよう。<br />　彼らとはこの１年、グラウンドとスタンドとの違いはあっても、互いに熱中してフットボールに打ち込んだ。昨年のチーム作りについての思い出話から、それぞれの成長のきっかけ、リーダーとして心に決めたことやプレーの回顧談。同じ場面を共有したものが同じ関心を持ってフットボールのことを話すだから、どんな前置きも説明も必要ない。いきなり本題に入れる。<br />　例えば、立命のエースＱＢ谷口君とファイターズの突貫ＲＢ望月君の当たりの強さの違いを説明する香山君の話。彼は、二人に本気でぶつかった当事者のみが表現できる言葉で、その強さの違いを説明してくれた。そして、そんなに強い相手に真正面からぶつかって負けなかった自らの修練、そこに至る道筋を話してくれた。<br />　松岡君は、昨年の夏合宿で練習中に意識を失いかけた時の心境について、これまた当事者ならではの言葉で語ってくれた。<br />　具体的な言葉は、あえて省略させていただくが、ともに「俺がチームを引き受ける」という責任感があって初めて口にすることのできる表現だった。そういう表現が自然に口から出てくるところに、彼らのこの１年間の取り組みの真実が垣間見えた。その取り組みが二人を成長させたことが実感できた。<br />　ほんの数時間前、これからの１年、ファイターズをどのようにリードしていこうかと悩み、苦しんでいる新しい幹部たちと話したばかり。新幹部の意気込みとそれに付随する戸惑い、悩みを耳にしたばかりとあって、１年間の重責を果たし、その苦しさを糧に成長し、卒業していく二人の言葉がとりわけ胸にしみた。ファイターズの４年生の背負う荷物の重さを知り、またそれを背負いきったときの果実の大きさを知ることができた。<br />　新しい４年生もまた、この1年間の重い任務を果たし、来年のいまごろには、松岡君や香山君のような言葉を口にするようになっているに違いない。なぜなら、上ヶ原のグラウンドには、人を人として成長させる磁場があるからだ。<br />　梶原君、川端君、そして金本君。リーダーの責任は重いけど、それぞれのやり方、手法で壁を突破し、目標を完遂してほしい。その責任を果たしてほしい。どんなに苦しくても、それを自分の力で突破したとき、諸君の前には新たな世界が広がるだろう。松岡、香山の両先輩がそれを証明している。<a name="more"></a>

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            <category>in 2012 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/55233190.html</link>
      <title>（２）卒業生文集</title>
      <pubDate>Thu, 12 Apr 2012 20:17:41 +0900</pubDate>
      <description>　今春もまた、卒業してゆくファイターズの諸君が書いた「卒業生文集」を頂戴した。Ｂ５判、48ページ。松岡主将をはじめ、選手、スタッフの皆さんの「４年間の取り組み」「ファイターズへの思い」が、心の底から絞り出した言葉で綴られている。　最初は一気に読み終え、次はじっくりと読み返し、折に触れてまた読み返している。それぞれが素晴らしい文章である。新聞記者として45年、同時並行で大学生に文章表現を指導するようになって10年。文章を書くこと、鑑賞することについては、それなりの自負を持ってい..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　今春もまた、卒業してゆくファイターズの諸君が書いた「卒業生文集」を頂戴した。Ｂ５判、48ページ。松岡主将をはじめ、選手、スタッフの皆さんの「４年間の取り組み」「ファイターズへの思い」が、心の底から絞り出した言葉で綴られている。<br />　最初は一気に読み終え、次はじっくりと読み返し、折に触れてまた読み返している。それぞれが素晴らしい文章である。新聞記者として45年、同時並行で大学生に文章表現を指導するようになって10年。文章を書くこと、鑑賞することについては、それなりの自負を持っている小生が読んでも、全員に「優」を進呈したい気分である。<br />　例えば、副将の谷山君はがこんなことを書いている。「ファイターズが好きではなかった」「ファイターズの一員として勝つことに取り組んでいたことはなく、個人的に勝つこと、いいプレーをすることしかなかった」「こんなクソみたいな考えしかなく、腐っていた時期も多くあった」と下級生のころを振り返り、「しかし、最後の１年間。４年として過ごした日々の中で私は変化した」「気がつけば抱いていた不満の元凶が見えてきた。それは、何もしないのに、変わらないのに、自ら行動しないのに、不満だけは吐き、不都合だけは大声で訴える。そのうえ、チームからおいしいところだけをとろうとしていた、クズの極みである自分自身である」と自分に刃を向ける。そして最後は「自ら行動し、自ら考え、自らが変え、自らの意思でやることこそが一番重要であるということを学んだ」とまとめる。<br />　領家杯を受賞したＤＢの香山君は「私は３回の終わりまでファイターズに必要ない人間だった。すべての物事をチーム単位で考えられる人間ではなかったからだ。何をするにも自分主体で考え、何かマイナスなことが起きたら、先輩や周りのせいにしようとする自分がいた。自分自身そのことに気付いていながらも、変わることにびびってしまうチキン野郎」と自らを省みる。<br />　しかし、あるコーチとの厳しいやりとりなどから「４回になるにあたって、チキン野郎の汚名を返上しようという闘争心に火が付いた」「サッカーの本田圭介選手の『成功すれば挫折は過程に変わる。だからあきらめない』という言葉にも励まされ、どんな逆境にあってもやり続けようと思えた」。<br />　その結果「最後の立命戦は、人生であれ以上はないというくらい楽しかった。試合前からの１分１秒が最高の瞬間だった。１年間ともに戦ってきたＤＥＦを誇りに感じた。このままこのチームでずっとアメフトを続けたいと思った」と心情を吐露する。<br />　ともに挫折、自己否定から始まり、自問自答、自己との格闘を通じて、最後は自分自身の成長を実感して４年間を総括する。その過程を具体的に「自らの言葉」で綴っている。それが素晴らしい。<br />　二人だけではない。選手もトレーナーも、マネジャーも分析スタッフも、そして高等部や啓明学院のコーチ、５回生コーチも、それぞれがファイターズで学んだことや心残りだったこと、後輩に言い残したいことなどを赤裸々に綴っている。飾りもなければ、嘘もない。その文章が読む者の胸に迫る。名文というしかない。<br />　「進化し続けるからＮＯ１」と言い切るＷＲ和田君。「１年間の努力を持ってすれば、社会人にも決して負けない試合ができる」「私たちのしてきた努力は正しかった。ただ、ただ勝つためにはこの努力でも足りないということも分かった」と書いた濱本君。<br />　年間最優秀選手に選ばれ、大月杯も受賞したキッカー、パンターの大西志宜君は、3700字を超える長文の最後を「自分自身、良いキッカーパンターだったと思っているが、凄い４回生ではなかったと思う。後輩たちには、自分の信念を曲げずに、その問題から逃げずに勝負していってほしい。凄い４回生になってくれることを期待している」という言葉で締めくくる。<br />　それぞれが凄い言葉である。これだけの自信を持って４年間の活動を振り替えることができるというのは、ただごとではない。こういうサムライたちが日本１という目標に向かって努力を重ねてきたからこそ、昨年度のファイターズは「日本１」の座にたどり着くことができた。松岡主将のいう「生きてきて初めて真の仲間ができた」「かけがえのないものを手にすることができた」のである。<br />　文集を読みながら、卒業していく諸君がこれを座右に置き、人生の節目に読み返して、生きる糧にしてもらいたいと思った。そして後輩たちにも、来春の同じ時期に、こういう文章が書けるまでに自らを鍛え、高め続けてほしいと願っている。<a name="more"></a>

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            <category>in 2012 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/54791171.html</link>
      <title>（１）ファイターズファミリー</title>
      <pubDate>Tue, 03 Apr 2012 17:41:09 +0900</pubDate>
      <description>　気がつけば４月。僕が働いている紀州・田辺では、遅れていた桜もようやく満開。新しいシーズンの始まりである。　そうなると、ライスボウル終了後、ぷっつり中断していたこのコラムも、再開のときが来たということ。ファイターズの諸君に負けないように、気合いを入れて書き始めなければならない。　と、元気よく宣言したものの、チームはまだ基礎的な練習ばかり。ときおり上ヶ原のグラウンドに足は運んでいるけれども、特段、みなさまにお知らせするようなニュースもない。強いていうなら「４年生の抜けた穴は大き..</description>
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　気がつけば４月。僕が働いている紀州・田辺では、遅れていた桜もようやく満開。新しいシーズンの始まりである。<br />　そうなると、ライスボウル終了後、ぷっつり中断していたこのコラムも、再開のときが来たということ。ファイターズの諸君に負けないように、気合いを入れて書き始めなければならない。<br />　と、元気よく宣言したものの、チームはまだ基礎的な練習ばかり。ときおり上ヶ原のグラウンドに足は運んでいるけれども、特段、みなさまにお知らせするようなニュースもない。強いていうなら「４年生の抜けた穴は大きい」「でも、それぞれのポジション、それぞれの選手ごとに課題を見つけ、それを一つ一つ解消しようと、全員が体作りから取り組んでいる」「体力作りも基礎練習も、例年と同様、あるいはそれ以上に熱がこもっている」と報告すれば、それで完了だ。<br />　でもそれだけでは、コラムにならない。<br />　だから、冬場の練習で特別に興味深かった場面を一つ紹介して、１回目の報告とする。こんな場面である。<br />　たしか、１月末の土曜日だった。いつものようにグラウンドに顔を出すと、ＱＢの諸君が熱のこもったキャッチボールをしていた。４年生の畑君、遠藤君、３年生の橘君、２年生の斎藤君に前田君。ほかにボールを受けるためにキッキングチームのメンバーやＷＲのメンバーが何人も協力している。その様子をビデオに収録するマネジャーや分析スタッフの顔も見える。<br />　それでも見知らぬ顔がある。高等部の諸君である。そう、この日は高等部と大学のＱＢが全員そろって、小野宏コーチからボールの投げ方のチェックを受け、よりよいフォームを探っていたのである。いわば、お兄ちゃんと弟が一緒になってお父さんの指導を受けている光景だった。<br />　その隣で、一回り大きな男前が二人。手慣れたフォームで悠然とキャッチボールをしている。彼らの顔を見て驚いた。投げているのが三原雄太氏、受けているのが秋山武史氏である。2007年の甲子園ボウルを勝ち、ライスボウルで史上最高のパスゲームを演じたときの主役二人が、現役の大学、高校生に混じって、楽しそうにキャッチボールに興じていたのだ。<br />　「秋山が体を動かしたいというので、つきあっている」と三原氏。「週末の大阪出張で時間が空いたから三原を引っ張り出した」と秋山氏。かくして2007年のライスボウル以来、初めて上ヶ原のグラウンドで名コンビが復活した。三原氏のパスも健在だが、今も日本のトッププレーヤーとして活躍している秋山氏のスピードはさらにすごみを増している。ターボエンジンが加速するような独特の走りで、三原氏が投げるどんなパスも確実にキャッチ。結局、30分ほどの練習中、１本のパスも落とさなかった。<br />　「久しぶりのグラウンドは気持ちがいい」と秋山氏がいえば、三原氏も「これからは、努めて週末に顔を出しますよ」と応じる。例えていえば、就職して実家を出た兄二人が久しぶりに実家に帰り、弟たちと旧交を温めている光景。たまたまその場に居合わせＷＲの小山君も「半端じゃないスピードですね」とびっくり。スピードをつけるためのトレーニングについて質問していた。<br />　話はそれだけでは終わらない。今度は防寒着をしっかり着込んだ武田建先生の登場である。ＪＶの練習が終わった後、ＱＢの練習を見に顔を出されたのだ。こんなたとえをすれば叱られるかもしれないが、まるで親子の練習を見守る好々爺、おじいちゃんである。<br />　ついでにいえば、そんな光景をうれしそうに眺めている僕は、親戚のおっちゃん。毒にも薬にもならないけれども、ただそこにいるだけで、なぜかしらその場が和む。そんな役回りをしているとでもいえばよいだろう。<br />　以上、六甲おろしが吹き下ろし、寒さの厳しい上ヶ原のグラウンドで見た「小春日和」のような光景である。<br />　それを見ながら、これが「ＫＧファミリーだ、ファイターズファミリーの姿だ」となぜかしら感動した。<br />　年代を超え、境遇や社会的立場の違いを超えて、ファイターズにつながる多彩な人たちがファイターズのために集まる。そして自分たちの持っている貴重な資産（経験や知識、技術や心意気……）を現役の選手たちに惜しみなく提供する。誰に命令されたわけでもなく、それが当然のように、そして自然な形で実現する。こういう環境を70年余にわたって作り上げてきたのが、ファイターズというチームであり、ほかのチームとはひと味違ったたたずまいである、と僕は妙に感心し、また納得した。<br />　もちろん、試合会場に詰めかけて下さる熱心なファンやＯＢの方々、保護者のみなさまの応援は、どのチームにも増して心強い。それは昨季の関西リーグの終盤から甲子園ボウル、ライスボウルへと続く「Ｖロード」でも実証された。その結束力を指して「ファイターズの底力」という方も少なくない。<br />　けれども、本当にファイターズがすごいのは、オフシーズンの地味な練習にも、お父さんやおじいちゃん、それに就職して実家を離れたお兄ちゃんらが、当然のように顔を出し、弟たちを励ましてくれる、そんな「ファイターズ愛」にあると僕は思っている。<br />　以上、あまりにもうれしい光景であり、僕一人の胸に抱えておくのはもったいない話だと思って、紹介させていただいた。<br />　　　　　　◇　　　◇<br />　お知らせが二つあります。<br />　①新しいシーズンの開幕にあわせて、このコラムを再開。原則として、１週間に１度のペースで更新を続けます。ご愛読いただければ幸いです。<br />　②昨季のコラムをまとめた冊子「2011年　ファイターズ　栄光への軌跡」を発行し、見事な戦いで大学王者になったファイターズの諸君に贈呈しました。２月の祝勝会でお披露目しましたが、一般の方々には試合会場でお求めできるようにします。１冊500円。売り上げはすべてファイターズに寄付させていただきます。ご協力いただければ幸甚です。<a name="more"></a>

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            <category>in 2012 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/52860823.html</link>
      <title>（３８）生涯の誇り</title>
      <pubDate>Thu, 05 Jan 2012 17:36:13 +0900</pubDate>
      <description>　元禄16（1703）年、54歳で亡くなった本因坊道策は、囲碁の世界で古今独歩の名人とうたわれた人である。碁聖ともいわれたその名人に向かって、ある人が「先生がこれまでになすった碁で、十分の勝利をお占めになったのは、いずれの時でしたか」と尋ねた。名人が答えていうには「一番うれしかったのは、安井算知と囲んで１目負けたときでした」。　この答えに、尋ねた人は驚き「では負け碁なのですか」と聞き返した。　道策がいうには「さればです。勝ち負けは競技の眼目ですが、どんなことをしても勝ちさえす..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　元禄16（1703）年、54歳で亡くなった本因坊道策は、囲碁の世界で古今独歩の名人とうたわれた人である。碁聖ともいわれたその名人に向かって、ある人が「先生がこれまでになすった碁で、十分の勝利をお占めになったのは、いずれの時でしたか」と尋ねた。名人が答えていうには「一番うれしかったのは、安井算知と囲んで１目負けたときでした」。<br />　この答えに、尋ねた人は驚き「では負け碁なのですか」と聞き返した。<br />　道策がいうには「さればです。勝ち負けは競技の眼目ですが、どんなことをしても勝ちさえすればよいというものではありますまい。勝負も勝負、相手によるのです。安井算知は古人にも恥じない名人で、あの折り下ろす石の一つ一つが妙手でないのはありませんでした。それで私も考えに考え、思いを尽くし、ついに１手の遅れをとらずに１目負けることができたのは、私の大手柄でありました。これが私の一生涯での一番得意の碁です」。<br />　以上は、森銑三という人の著した「おらんだ正月」（岩波文庫）からの引用だが、僕はライスボウルにおけるファイターズの戦いぶりを見て、思わずこの話を思い起こした。<br />　38－28。最終のスコアはファイターズの負けではある。しかし、社会人の代表を相手に一歩も引かず、チームとしての品性を持ち、正々堂々と戦った彼らの姿は、大手柄と呼ぶにふさわしいものだった。「生涯での一番得意の試合です」と胸を張ってよい戦いだった。<br />　ファイターズの諸君はそれほど雄々しく、また美しく戦った。ゲーム開始と同時にオンサイドキックを成功させて相手を揺さぶったのは序の口。いったんは攻撃権を失ったが、すぐさまＬＢ池田のインターセプトで奪い返し、相手陣40ヤードからの攻撃。この好機にＱＢ畑からＷＲ小山へのパス、畑のキーププレーなどで、一気にゴール前に迫り、仕上げはＲＢ望月の中央突破でＴＤ。大西がキックを決めて７－０。主導権を握った。<br />　第２Ｑに入ってすぐ、相手にフィールドゴール（ＦＧ）を決められたが、この場面は決められたというより「ＦＧに追いやった」という表現の方が適切。第２ダウンゴール前１ヤードという絶体絶命のピンチだったが、そこでファイターズ守備陣が奮起した。長島、梶原、池永らの第１列が中央のラン攻撃を封じ、ＤＢの香山や重田が突き刺さるようなタックルを連発して陣地を挽回。結局、ＦＧを蹴るしかない状況に相手を追いやった。<br />　自陣34ヤードから始まった次の攻撃シリーズは望月のラン、畑のキープ、小山へのパスと多彩な攻めで陣地を進める。相手が焦点を絞りかねたところで、ダブルリバースからＷＲ木戸が走ってダウンを更新。さらにＷＲ和田へのパスを成功させてゴール前24ヤードに迫る。一度は攻めあぐね、第４ダウンショートという状況に追い込まれたが、ファイターズ攻撃陣は委細かまわず攻撃を続行。畑が和田へのパスフェイクで相手守備陣を揺さぶり、がら空きになった中央をラッシュして一気にＴＤ。14－３とリードを広げた。<br />　後半になると、さすがに数多くの日本代表選手やＮＦＬ予備軍を揃えた相手である。徐々に地力を発揮して追い上げてくる。逆に、ファイターズの選手の動きは変調気味だ。関大、京大、立命と強敵を相手の試合が続いた関西リーグ、そして日大との甲子園でのしのぎを削る戦いで主力選手の多くがけがをした影響が出てきたのだろう。<br />　シーズン終盤にけがをし、医者通いをしていた選手は、この日の先発メンバーだけでも10数人に上る。チーム練習にも思い通りに参加できないほどの重症者もいたようだが、それでもみな痛み止めの注射を射ったり、患部にがちがちのテーピングを施したりして出場していた。しかし、いくら痛み止めを射ったとしても、15分クオーターの戦いでは、その効果に限りがある。注意してみていると、ある者は足を引きずり、ある者は腕や肩を抱えている。それでも誰一人グラウンドに倒れ込む者はいない。<br />　グラウンドの戦いに目を奪われているファンの大半は、個々の選手のそんな事情には気づかなかったはずだ。だが、日頃から上ヶ原のグラウンドに通い、選手らの練習やけがとの戦いを見てきた僕には、彼らの変調ぶりがわがことのように感じられた。<br />　しかし、ファイターズの諸君は誰一人、そんな様子をそぶりにも出さなかったし、ベンチに歩いて戻れる状況でグラウンドに倒れ伏すこともなかった。ファイターズとは、戦いの場で弱みを見せることを恥とし、味方の士気を失わせることを不名誉と心得ている戦士の集団である。たとえ満身創痍であっても、気高く戦うこと、全力を尽くして正々堂々と戦うことに至上の価値をおいているチームである。<br />　そういう戦士たちが最後まで全力で、雄々しく戦ったのだ。終盤、リードされ、残り時間から考えて、もはや追いつくのが難しい状況から、48ヤードのフィールドゴールを決めたＫ大西、畑のバックアップとして出場し、ＷＲ南本へのＴＤパスを決めたうえ、同じコンビで２点コンバージョンを成功させたＱＢ糟谷……。この日グラウンドに出た選手は全員、死力を尽くして戦った。これを戦士と呼ばずになんと呼べばいいのか。<br />　今年のイヤーブック、ＲＢ兵田選手の紹介欄にこんな記述がある。「努力は必ず報われるということを、私兵田は秋の立命戦を持って証明いたします！」。そう、ファイターズの諸君は、立命戦から甲子園ボウル、そしてライスボウルと続くハードな戦いの中で、この兵田選手の台詞を全員で証明したのである。「まことにひ弱な学生」が全員、一人前の男になったのである。東京ドームに詰めかけた多くのファンが心から感動したのは、そういう選手たちの戦いであり、そういうチームを作り上げた松岡主将を中心にした４年生のがんばりである。<br />　それは本因坊道策が「考えに考え、思いを尽くして」戦ったというのと同じ意味であろう。勝負には「１目差」で敗れたけれども、「大手柄であった」というゆえんである。<br />　気高く戦い、素晴らしい試合を見せてくれたファイターズの諸君に心から感謝する。堂々と戦い、堂々と敗れた諸君は、チームソング「Fight on,Kwansei」の体現者であり、関西学院の誇りである。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
          </item>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/52562265.html</link>
      <title>（３７）成長の軌跡</title>
      <pubDate>Thu, 29 Dec 2011 14:27:17 +0900</pubDate>
      <description>　　「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」　司馬遼太郎の『坂の上の雲』はこんな書き出しで始まる。この言葉をもじっていえば、今年のファイターズは「まことにひ弱なチームが、開化期をむかえようとしている」とでもいうのだろうか。　それほどひ弱なチームだった。春、新しいシーズンを迎えた時のメンバーを振り返れば、そのことは実感できるだろう。　主将の松岡は、昨シーズン終盤のけがで、練習には加われない状態。オフェンスラインは、リーダー濱本が故障がちで、２年生になったばかりの友国..</description>
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　　「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」<br />　司馬遼太郎の『坂の上の雲』はこんな書き出しで始まる。この言葉をもじっていえば、今年のファイターズは「まことにひ弱なチームが、開化期をむかえようとしている」とでもいうのだろうか。<br />　それほどひ弱なチームだった。春、新しいシーズンを迎えた時のメンバーを振り返れば、そのことは実感できるだろう。<br />　主将の松岡は、昨シーズン終盤のけがで、練習には加われない状態。オフェンスラインは、リーダー濱本が故障がちで、２年生になったばかりの友国や木村、長森や上沢らに頼らなければならなかったし、攻撃の司令塔となるＱＢはもっと悲惨だった。エースと期待された糟谷は手術後の回復期にあり、グラウンドには出られない。畑と２番手を争うはずだった遠藤も故障。急遽、高等部のコーチを志望していた２年生の橘をプレーヤーとして呼び戻さなければ、畑一人では練習にも不自由する状態だった。<br />　デフェンスも、新戦力の台頭が待ち遠しい状態。長島、梶原、池永とそろったラインこそ強力だったが、ＬＢやＤＢは３年生以下の成長に望みを託すしかない状態からのスタートだった。<br />　「日本１になる」という松岡主将の決意は痛いほど分かったが、そして彼を中心にしたチームの取り組みが素晴らしいことも見ていたが、それでも「このメンバーで関大や立命の強力な布陣に対抗できるだろうか、ひょっとしたら京大に足下をすくわれる可能性もあるぞ」という懸念は払拭できなかった。「まことにひ弱なチーム」の船出だった。<br />　けれども、選手たちの取り組みは本気だった。冬季は体幹を鍛えるトレーニングに励み、苦しい甲山への「走りもの」も、全力でこなした。春のシーズンが始まると、１軍の試合だけでなく、積極的にＪＶ戦を組んで下級生に経験を積ませ、新しく戦力となりそうな素材の発掘に務めた。理学療法士やトレーナーを中心に選手の体のケアに務め、故障者の早期発見と回復に務めたし、栄養分を適切に補給するために下宿生らを対象とした「朝食会」も定例化させた。<br />　シーズンが始まると、試合に出場するメンバーは、練習への取り組みを重視して選び、チームに貢献したメンバーには「プライズマーク」を与えて、即座にその功績を顕彰した。松岡主将を中心に４年生が率先して練習に取り組み、チームのモラルを高めた。<br />　その姿勢はグラウンドだけでなく、ミーティングや特定の選手を対象にした補習授業への取り組みでも発揮された。前回、紹介した昼休みにコーチの部屋を訪ねてのミーティングはその顕著な例である。<br />　そういう取り組みから、４年生が自信をつけ、フットボールの未経験者や下級生が力を伸ばしてきた。春の初戦となった日大との試合では先発メンバーではなかったが、甲子園ボウルでは堂々のスタメンを務めたＯＬの濱本、田淵、ＷＲ梅本、ＬＢ小野、ＤＢ香山、鳥内弟らがその代表である。小野は１年生、鳥内弟と梅本は高校時代、野球をしていた選手である。<br />　１年生では、ほかにもＲＢ鷺野、吉澤、ＷＲ木戸、大園らが活躍。上級生に大きな刺激を与えた。<br />　一方、ひたすら体幹を鍛え、強く当たる練習を積み重ねた成果は、強烈なタックルやブロックとなって表れた。相手の戦意を失わせてしまうようなＤＢ香山や重田、ＬＢ池田雄や川端らのタックルは、どのチームの守備陣よりも強力だった。オフェンスでは５人のラインが粘り強く相手守備陣を制御し続けたし、ＷＲ和田や小山、ＴＥ金本、ＲＢ兵田らの強烈なブロックも、冬の練習の成果だろう。立命戦で、キッキングのカバーチームに入った小山が相手のリターナーなど３人をまとめてはね飛ばしたブロックなんて、最近のファイターズでは見たことがなかった。<br />　そういう風に互いに励まし、鍛えあって成長してきたのが今年のファイターズである。右肩上がりの成長曲線が、どのチームよりも急激だったから、関大、京大、立命戦と続いた関西リーグの終盤戦を勝ち抜き、甲子園ボウルでも日大に勝利することができた。「まことにひ弱なチームが、開化期をむかえた」のである。<br />　そして迎えるライスボウル。相手は「日本フットボール史上最強」とまで称されている強力なチームである。これまで先輩たちが苦杯をなめさせられた立命のＯＢが多数、主力選手として活躍しているし、法政や日大で鳴らしたスター選手も顔を揃えている。「開化期を迎えた」ファイターズが胸を借りるには、まことに最適の相手である。<br />　ファイターズの諸君。全知全能を振り絞って戦いましょう。おめず臆せず、ひるまずにぶつかりましょう。君たちの「成長の軌跡」を見せつける最高の舞台が１月３日、東京ドームに用意されています。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
          </item>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/52211081.html</link>
      <title>（３６）統率力と結束力、そしてフットボールへの取り組み</title>
      <pubDate>Thu, 22 Dec 2011 14:43:53 +0900</pubDate>
      <description>　甲子園ボウルの前日、朝日新聞スポーツ部で記者をしている榊原一生君（2002年卒）、大西史恭君（2008年卒）と昼食をともにした。東京、福岡と勤務地は異なっているが、ともに甲子園ボウルの取材に「特派」されてきた。　長年、朝日新聞で記者をしてきた僕にとって、二人はかわいい後輩。いつも気になる存在である。その二人がファイターズの取材のため、わざわざ出張してきてくれた。旧交を温め、ともに元気で活躍していることを知って、本当にうれしかった。会話も弾んだ。　「今年のチームはどうですか。..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　甲子園ボウルの前日、朝日新聞スポーツ部で記者をしている榊原一生君（2002年卒）、大西史恭君（2008年卒）と昼食をともにした。東京、福岡と勤務地は異なっているが、ともに甲子園ボウルの取材に「特派」されてきた。<br />　長年、朝日新聞で記者をしてきた僕にとって、二人はかわいい後輩。いつも気になる存在である。その二人がファイターズの取材のため、わざわざ出張してきてくれた。旧交を温め、ともに元気で活躍していることを知って、本当にうれしかった。会話も弾んだ。<br />　「今年のチームはどうですか。僕はファイターズ史上最強のチームじゃないかと思うんですが」。食事が一段落したころ、大西君がこんな質問を向けてきた。<br />　「そうかもしれんなあ」と相づちを打ちかけて、瞬間、待てよ、と踏みとどまった。<br />　榊原君は、ファイターズが社会人代表のアサヒ飲料を破って初めてライスボウルを制覇したときの副将。主将・石田力哉君をはじめ、史上でもまれなスター選手がそろっていたときの主力選手である。大西君の代も、ＱＢに三原雄太君を擁して甲子園ボウルに勝ち、ライスボウルでは全盛期の松下電工を相手に史上最高のパスゲームを演じている。<br />　そういうチームで主力選手として活躍した二人を目の前にして、今年のチームが史上最強とは、なかなかいいにくい。<br />　「今年のチームもよくなったけど、君らのチームはもっと強かった。榊原君の時は下級生も含めてタレントがそろっていたし、大西君の代はＱＢとレシーバーの関係が特別だった」。そんな風に答えると、大西君も「そういえば、僕の代のレシーバーは、甲子園ボウルでもライスボウルでも、手に触れたボールはすべてキャッチしているんですよね。この前、同期の連中と飲んだんですけど、そんな話で盛り上がりました」なんて答えている。やっぱり、二人とも自分たちのチームが一番強かったと思っているのだ。<br />　食事を終え、記者会見に向かう二人と別れて帰る途中、本当に今年のチームは「史上最強」だろうかとあらためて考えた。<br />　結論は「そんなことはない」だった。今季のチームには、年間最優秀選手賞（チャックミルズ杯）を受賞した大西志宣君をはじめ、攻撃ではＲＢ松岡君、ＷＲ和田君、ＯＬ濱本君、ＱＢ畑君、守備ではＤＬの長島君や梶原君、ＤＢの香山君や重田君が関西リーグのベスト11に名を連ねている。実際、選ばれて当然と思えるほど彼らの活躍は素晴らしかった。けれども、石田君や三原君を上回るほどの傑出した存在だったかどうかと突き詰めて考えると、なかなかそうとは言い切れない。チームとしての力量では、似たようなものだというのが正解だろう。<br />　けれども、特筆しておきたいことが三つある。それは主将のリーダーシップとチームの結束力、そしてフットボールへの取り組みである。この三つは、少なくともこの10年間では、今年のチームがダントツだった。これだけは他の追随を許さない。<br />　例えば、立命戦の１週間ほど前の練習中にこんなことがあった。チーム練習が佳境に入ったと思われた頃、突然、松岡主将が「ハドル！」と声を掛け、練習を中断して全員をグラウンド中央に集めた。彼にとっては、その日の取り組みがあまりにも甘過ぎる、と思えたのだろう。ハドルの中で「なんでこんな練習しかできへんねん。こんな練習で立命に勝てるのか。おまえら立命に勝ちたくないんか。日本１になりたくないんか」と声を振り絞った。感情がこみ上げてきたのか、途中からは泣きながらの檄だった。そしてその後、さらに４年生だけを集め、練習への取り組み、チームの意思統一などについて、あらためて指示を出していた。<br />　部員はみんな主将の日頃の取り組みを知っている。率先垂範。いつも、先頭に立って練習に取り組むだけでなく、すべてのパートの練習に足を運び、声を掛け、士気を鼓舞してきた姿を知っている。だからこそ「松岡を日本１の主将にしたい」（by大西志宣君）とか「僕の言いたいことは、松岡が全部言ってますよ」（by鳥内監督）とかいう言葉が出てくるのである。<br />　それほど信頼されている主将が泣きながら飛ばす熱い檄である。チームが覚醒し、奮い立つのも当然だろう。リーダーの統率力が人を動かすのである。<br />　結束力といえば、こんなこともある。ファイターズの一員でありながら、高等部のコーチとしてチームを離れていた片岡君と、体育会本部に出向して本部長の重責を担っていた野島君がシーズンの終盤になってチームに復帰し、練習台を務めたり、先頭に立って練習を取り仕切ったりしていた。高等部は関西大会の決勝で敗れ、体育会本部は任期が終了したからということだったが、そこで「自分の任務は終了」とせず、チームに復帰し、チームを裏から支える役割を果たしているのである。<br />　当然といえば当然かもしれない。けれども、最近のチームでは、残念ながらそういう姿は見られなかった。それだけに、いまこの時期にチームのために駆けつけた彼らの姿は、僕の目に頼もしく写った。そして、一度はチームを離れた彼らを再び引き戻すだけの結束力を持った今季のファイターズの凄さを再認識したのである。<br />　練習への取り組みでは、春先、パナソニック電工との合同練習でのＷＲ和田君の姿が思い浮かぶ。彼はその日、予定された合同練習が終わった後、パナソニックのＤＢの選手らに「もう少し相手をして下さい」と申し入れ、さらにブロックやレシーブの練習に取り組んだ。せっかくの機会だからと、年長の社会人を練習台に引っ張り込み、納得のいくまで練習を続けたのである。<br />　昼食時、毎日のように学院本部に足を運び、そこで働く小野コーチや神田コーチ、大寺コーチらと定期的にミーティングを重ねていたパートリーダーやキッキングチームの姿も忘れられない。学院の専任事務職員として多忙を極めるコーチたちと意思疎通を図り、寸暇を惜しんで戦術を検討するためだが、そこにも毎日24時間、フットボールを最優先して取り組むコーチと選手との固い絆があった。<br />　勇将のもとに弱卒なしという。それは表面的な猛々しさをいうのではない。自らの実践、行動、情熱で統率力を表現するリーダーと、それを本気で支える構成員のことをいうのである。その両者が同じ目標に向かって気持ちを一つにしたとき、チームに化学反応が起きる。最強の社会人チームを相手に、勝利への光が見えてくるのである。<br />　あと１試合。全力を尽くしてがんばろう。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
          </item>
        <item>
      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/52111951.html</link>
      <title>（３５）芝生の上の幻術師</title>
      <pubDate>Mon, 19 Dec 2011 14:45:56 +0900</pubDate>
      <description>　「何でだ！」「どうして？」――。　僕がもし、相手チームの選手、あるいは監督、コーチなら、そんな疑問符が団体を組んで押し寄せてきただろう。４年ぶりの青と赤の対決、関西学院大学ファイターズと日本大学フェニックスが戦った甲子園ボウルの試合内容と結果のことである。　総獲得ヤードは297ヤードと260ヤード、ファーストダウンの更新回数は16回と12回、ボール所有時間は32分６秒と27分54秒。いずれも日大が関学を上回っている。逆に、反則の回数と罰退させられた距離は、それぞれ７回と３回..</description>
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　「何でだ！」「どうして？」――。<br />　僕がもし、相手チームの選手、あるいは監督、コーチなら、そんな疑問符が団体を組んで押し寄せてきただろう。４年ぶりの青と赤の対決、関西学院大学ファイターズと日本大学フェニックスが戦った甲子園ボウルの試合内容と結果のことである。<br />　総獲得ヤードは297ヤードと260ヤード、ファーストダウンの更新回数は16回と12回、ボール所有時間は32分６秒と27分54秒。いずれも日大が関学を上回っている。逆に、反則の回数と罰退させられた距離は、それぞれ７回と３回、45ヤードと15ヤードで関学の方が日大より多い。なのに、肝心の得点は24－３。日大はフィールドゴール（ＦＧ）１本だけだったのに、関学は堂々と３本のタッチダウン（ＴＤ）と１本のＦＧを決めている。<br />　不思議というしかない。気の利いた小説家なら、甲子園の緑の芝生の上に、手品か目くらましを得意とする幻術師が舞い降りた、とでも表現しそうな試合だった。<br />　しかし、それは幻術師の仕業でも、手品師の目くらましでもない。周到に準備し、練りに練った仕掛けだった。<br />　例えば、互いに２度ずつパントを蹴り合い、一進一退の状況で迎えた第１Ｑ終盤、ファイターズが自陣29ヤードから始めた攻撃シリーズ。まず、ＱＢ畑からＷＲ大園への14ヤードパスで陣地を進め、次はエースＷＲ和田への43ヤードのパス。ともに相手ディフェンスのカバーをピンポイントでくぐり抜ける魔術師のようなパスであり、キャッチであった。この好機を、畑のスクランブルとＲＢ望月のラッシュでＴＤに結びつけたのだが、それはラン攻撃に対する守備には絶対的な自信を持ち、逆にパスを警戒する相手守備陣の裏をかいた見事な戦法だった。<br />　そして、この日の勝敗を決定づけたのが第２Ｑに入ってすぐ、自陣30数ヤードからＫ大西が蹴ったパント。相手陣深くまで高々と上がったこのボールを日大のリターナーがファンブル。それをＤＢ大竹がゴール前２ヤードでカバーして攻撃権を奪い取り、即座に主将・松岡のＴＤランに結びつけた。<br />　相手のミスにつけ込んだように見えたこのプレーはしかし、１年がかりで周到に準備されたものだった。キッキングチームの指導を担当している小野コーチによると「あれは大西が１年かけて磨き上げた特別のパント。リターナーのファンブルを誘うように仕掛けてあるのです。それを思い通りに決め、相手のファンブルを誘い、そのボールを見事にカバーしたカバーチームの芸術的なプレーです」という。<br />　その証拠に、第４Ｑに入ってすぐ、大西が似たような位置から蹴ったパントも、相手リターナーがファンブルした。これは相手が抑え、ターンオーバーにはならなかったが、よほどキャッチしにくい弾道で飛んでくるのだろう。それ以降に２度、大西がパントを蹴ったが、２度とも相手リターナーはボールに手を触れず、転がるままに任せてしまった。おかげでファイターズは第４Ｑ、必死に反撃を試みようとする相手を、常にゴール前10ヤード以内からの攻撃に追いやり、反撃の芽を摘み取った。魔術師、あるいは幻術師と呼ぶにふさわしいパントであり、キッキングチームの活躍だった。大西が今年の年間最優秀選手賞（チャック・ミルズ杯）を受賞したのには理由がある。リーグ戦からこの試合まで、営々とこういう場面を積み重ねてきたからである。<br />　しかし、魔術師、幻術師はオフェンスだけにいたのではない。中央のランプレーを終始止め続けたディフェンス陣の活躍は、いくらほめてもほめきれない。なにより梶原、長島、池永、前川という布陣で臨んだＤＬの速さはただごとではなかった。大げさに言えば、相手オフェンス陣には、ボールがスナップされた瞬間、もう目の前に彼らが立ちふさがっていると見えたのではないか。これに加えて、２列目の池田や３列目の香山が再三、突き刺すようなタックルを見舞い、短いパスではダウンが更新できないような状況に相手を押しやってしまった。<br />　ラン攻撃に自信を持ち、関東の激戦を勝ち抜いてきた相手だけに、その決め手を封じられると、攻撃は手詰まりになる。パスで活路を開くしかないが、そこでもファイターズは周到な対策を用意していた。相手のラン攻撃を封じて、常に第３ダウンロングという状況を作りだした上、その場面ではＬＢとＤＢが全員後方に下がり「短いパスならどうぞ通して下さい。でも、長いのは通させませんよ」といわんばかりの守備隊形を敷く。硬軟自在の守備。これではいくらヤードを稼いでも、得点にまで結びつけるのは難しい。<br />　簡単に突破できそうなのに、そして実際、ヤードは稼いでいるのに、得点までは結びつけられない攻撃。強力なＤＬ陣を中心に、完璧に封じ込めたように見えるのに、針の穴を通すように攻め込まれた守備。その上、魔法のような技術を持ったキッキングチームに翻弄されては、攻守ともに高い身体能力を持った赤の軍団も、その力を存分に発揮するまでには至らなかったのだろう。日大の選手たちにとっては、この日のファイターズは、まるで魔術師の集団に見えたとしても不思議ではない。頭に？マークが集団で巣を作ってもおかしくはない。<br />　そういう不思議な、しかし周到に準備されたプレーを連発し、攻守だけでなくキッキングチームやベンチの采配までを含めて、すべてを総合し、撚（よ）りあわせて、ファイターズは勝利した。細い糸でも、何本も集めて撚りあわせると強力な綱（ロープ）になる。その撚りあわせる力、結びつける力を、人は絆と呼ぶ。「すべては気持ち」という合い言葉で撚りあわせた、ファイターズの絆はどのチームより強かった。<br />　実力は紙一重、ひょっとしたら相手の方が上回っていたかもしれないのに、それを覆して勝ったファイターズの絆に、まずは拍手を送りたい。優勝、おめでとう。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/51682499.html</link>
      <title>（３４）いざ聖地へ</title>
      <pubDate>Sat, 10 Dec 2011 14:39:40 +0900</pubDate>
      <description>　「キラー・コンテンツ」という言葉がある。広告業界発祥の用語で、決定的な、極めつきの、という意味を持たせて使われる。　例えていえば、水戸黄門なら「葵の印籠」、阪神タイガースなら「六甲おろし」、巨人なら「王、長嶋」。いま風なら、ユニクロの「ヒートテック」というところか。　この季節の関西学院でいえば、クリスマスと甲子園ボウルがそれに相当する。関学を売り出すキラー・コンテンツ。それはいま、上ヶ原のキャンパスを訪れてみれば、即座に理解できる。正門を入り、中央芝生の正面には「聖地・甲子..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　「キラー・コンテンツ」という言葉がある。広告業界発祥の用語で、決定的な、極めつきの、という意味を持たせて使われる。<br />　例えていえば、水戸黄門なら「葵の印籠」、阪神タイガースなら「六甲おろし」、巨人なら「王、長嶋」。いま風なら、ユニクロの「ヒートテック」というところか。<br />　この季節の関西学院でいえば、クリスマスと甲子園ボウルがそれに相当する。関学を売り出すキラー・コンテンツ。それはいま、上ヶ原のキャンパスを訪れてみれば、即座に理解できる。正門を入り、中央芝生の正面には「聖地・甲子園へ集結せよ!!」と大書した巨大な横断幕が張られ、時計台にはまばゆいばかりのクリスマスツリー。その光に吸い寄せられるように、時計台の前には三々五々、下校途中の学生が集まり、カメラのシャッターを押している。その光景を見るたびに、彼、彼女らは生涯、この輝きを胸に刻み、ここを母なる大学と思って卒業していくに違いない、なるほどこれが「キラーのキラーたるゆえんか」と妙に納得する。<br />　甲子園ボウルも、そしてファイターズの諸君の活躍も、それに劣らぬ感動を刻んでくれるに違いない。だが、それは甲子園に足を運び、青と赤の決戦を自分の目で見た人と、見なかった人では決定的に異なるはずだ。テレビ放送の中継で見ても、翌日の新聞で見ても、それなりの感慨はあるだろう。だが、冬でも緑の甲子園の芝生を舞台に躍動する「生のファイターズ」「気高く戦うファイターズ」を目のあたりにするとしないとでは、天と地ほどの違いがある。<br />　青一色に染まったスタンドで思いっきり校歌を歌い、拍手と声援を送る。両軍の選手が激突する音はスタンドにまで響く。味方の好プレーにわき、相手の素晴らしいプレーに沈黙する。その繰り返し。いつしかスタンドとグラウンドは一体となり、選手の一挙一動にわがことのように反応する。その醍醐味。<br />　試合終了の笛が鳴るまで、両軍とも一歩も譲らない戦いは、過去の歴史が証明している。４年前、長居スタジアムでの関学と日大の決戦は、試合終了３秒前のタッチダウンでファイターズが逆転勝ち。1984年の甲子園ボウルでは、ファイターズが残り４秒で８点差を追いつく粘りを見せ、両校優勝にこぎ着けた。こんな試合を目の前にすれば、それはその場にいた人すべてが生涯語り続ける伝説となる。そういう伝説を胸に刻んだ人が数多く存在することによって、ファイターズの活動がスクールスポーツとして敬意を払われ、キラーコンテンツとしての地位を獲得できたのである。<br />　そういう舞台を数多くの同窓に見ていただきたい。学生諸君に味わってもらいたい。<br />　僕は昨日、社会学部で担当している授業の中で、受講している学生諸君に「甲子園ボウルに行こう」「ファイターズを応援しよう」と呼び掛けた。本当は「甲子園ボウルに行った人には単位をあげます」といいたいところだったが、さすがにそういうことをいえば、ほかの先生方から叱られる。学生からも「何をバカなことを」といわれるかもしれない。<br />　そこで少々遠慮して、黒板の片隅に「甲子園ボウル18日午後１時10分キックオフ」「１番ＬＢ池田、14番ＤＢ大森、72番ＯＬ田淵、スタメン出場予定。マネジャー野瀬」と書き、乞う応援！と書き添えた。<br />　そして、同じ授業を受講している彼らが必ず活躍するから、是非、甲子園に足を運び、応援してくれ、と訴えた。<br />　残念ながら、反応は鈍かった。でも、少なくとも同じ教室で席を並べている彼らが甲子園ボウルに出場すること、僕がいう通りに彼らが活躍してくれることに関心を持ってくれたことは間違いない。そして、ファイターズが甲子園ボウルに勝利すれば、生涯、彼、彼女らは「僕の、私の同級生が甲子園ボウルで勝った。あのとき活躍した選手らは僕の、私のゼミで一緒やったんや」と語り継いでくれるに違いない。<br />　そういう仲間を増やしてほしい。そしてファイターズ伝説の「語り部」を増殖させてほしい。それが横断幕に書かれた「聖地・甲子園に集結せよ!!」の意味である。そういう大勢のファンの前で、ファイターズの諸君が思い切り躍動してくれたとき、ファイターズ、そして甲子園ボウルは、関西学院の「キラー・コンテンツ」として、さらに輝きを増すに違いない。<br />　ファイターズの諸君の健闘、気高い戦いを心から祈っている。<br /><br /><img src="http://kgfighters.sakura.ne.jp/sblo_files/a-ishii-kgfighters/image/20111210_01.jpg" width="360" height="180" border="0" align="" alt="20111210_01.jpg" /><br /><br />付記<br />　ファイターズは「スタンドをKGブルーに！」というキャンペーンを広報室の協力も得て進めている。<br />　関学側の一塁側・ライト側のスタンドをスクールカラーのブルー一色で染めて、オール関西学院一体となった大声援で選手たちを後押ししようという狙いだ。クラブでは、青を着てきた人には「甲子園ボウル限定オリジナルステッカー」を用意して先着4,500人に提供するとのこと。ぜひ、ファイターズファミリーだけでなく、関西学院全体が「青」に結集しよう！<br />（↓詳しくはこちら↓）<br /><a href="http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_003691.html#01" target="_blank">http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_003691.html#01</a><a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/51430644.html</link>
      <title>（３３）アメフットは難しい</title>
      <pubDate>Mon, 05 Dec 2011 23:20:10 +0900</pubDate>
      <description>　フットボールは難しい。本当に難しい。４日、甲子園ボウル出場をかけ、王子スタジアムで行われた西日本代表決定戦を見ながら、つくづくそのことを実感した。　結果は55－６。この得点だけを知った人は、ファイターズの圧勝と思われるかもしれない。しかし、現場で試合の流れを見ていると、とてもそんな気楽なことは考えられなかった。強豪揃いの関西リーグを戦う中で、チームとしての完成度が上がり、選手個々の地力でも、練習内容でも、相手の中京大を圧倒しているはずなのに、なかなか思い通りに試合を展開する..</description>
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　フットボールは難しい。本当に難しい。４日、甲子園ボウル出場をかけ、王子スタジアムで行われた西日本代表決定戦を見ながら、つくづくそのことを実感した。<br />　結果は55－６。この得点だけを知った人は、ファイターズの圧勝と思われるかもしれない。しかし、現場で試合の流れを見ていると、とてもそんな気楽なことは考えられなかった。強豪揃いの関西リーグを戦う中で、チームとしての完成度が上がり、選手個々の地力でも、練習内容でも、相手の中京大を圧倒しているはずなのに、なかなか思い通りに試合を展開することができなかったのだ。<br />　試合後のインタビューで、鳥内監督が「こんな試合やっとったら日本１にはなれへん」と答えていた。スタンドで観戦されていたファンの多くも「その通り」と思われたのではないか。<br />　主将松岡兄をはじめ、オフェンスでは副将谷山、ＱＢ畑、ＷＲ小山の名前がスタメンから外れていた。ディフェンスでは、梶原、川端、香山の名前がなかった。スタメンに名前は連ねてはいても、ＷＲ和田や副将のＤＬ長島らはすぐに後輩と交代し、試合経験の少ない下級生が次々と登場した。<br />　チームの司令塔となるＱＢには、前半が糟谷、第３Ｑ途中から１年生の松岡弟、斎藤、最後には２年生の橘までつぎ込んだ。ほかのポジションでも、４年間がんばってきたが、故障などで才能を開花しきれなかった４年生の控えメンバーや下級生が次々に出場した。<br />　「２番手、３番手だけじゃなく、ポジションによっては５、６番手まで出しましたからね」（大村アシスタントヘッドコーチ）という状況。若手には試合経験を積ませ、存在をアピールする場に、ベンチを温めることの多かった４年生には思い出に残る試合にさせたいというベンチの思惑が露骨ににじみ出た試合だった。<br />　だが、選手たちはその思いに応えることができただろうか。否、である。<br />　得点の経過、内容がそれを証明している。チームとして組織的に攻め込んだというよりも、選手個人の能力、天分で一発タッチダウンとなった場面が大半だった。例えば、前半の立ち上がり。中京の最初の攻撃シリーズである。自陣23ヤードから始まった２度のラン攻撃はまったく進まず、第１ダウンまで10ヤードを残して苦し紛れのパス。それをＤＢ大森が待ち構えていたようにインターセプトし、そのままサイドライン際を駆け上がってＴＤ。Ｋ大西のキックも決まって７－０。簡単に主導権を奪った。<br />　ファイターズの次の攻撃はファンブルで進めなかったが、自陣６ヤードという厳しい状況からスタートした３度目の攻撃シリーズでは、ＱＢ糟谷からＷＲ南本への10数ヤードのパスがヒット。フリーで確保した南本が89ヤードを独走してＴＤ。３本目のＴＤも相手パントをＤＢ大竹がブロックし、敵陣19ヤードという好位置を得たことで得点に結びつけた。<br />　後半も立ち上がり、相手のキックしたボールを自陣20ヤード付近で確保した鷺野がそのまま80ヤードを独走してＴＤ。その後もＲＢ望月と野々垣という、鷺野と同様、リーグ戦では交代メンバーとして常時、出場している選手がその個人技で相手守備陣を突き破ってＴＤに結びつけた。ゲームプランを組み立て、チームの組織力、総合力で相手ゴールに迫るという戦い方とは、少々異なっていたのである。<br />　点を取ればそれでいい、勝てばいい、という試合なら、それでもよかろう。しかし、この試合の位置づけは「有望な下級生をどんどん出場させて経験を積ませたい。下級生や普段試合に出ていない上級生に、スタメンのメンバーを脅かすほどの力量があるかどうかを見極めたい」というところにあった。だからこそ、試合展開を見ながら「５番手、６番手のメンバーまで登用した」（大村コーチ）のだろう。チャンスを与えられた選手たちがその期待に応えられたかどうかという視点でみると、結構寂しいものがあった。<br />　普段の練習では、それぞれが非凡な才能、というより飛び切りの才能（鳥内監督にいわせると、彼らは全員、関西リーグ一部の下位チームならスタメンが取れますよ、ということだった）を披露していただけに、それが試合で発揮できなかったことに僕は物足りなさを感じた。フットボールは難しい、というゆえんである。<br />　実際、この試合の前、木曜と金曜日に上ヶ原のグラウンドへ練習を見に行った時には、松岡、斎藤という１年生ＱＢ２人はほとんど失敗する場面がなかった。この日、短いフィールドゴールを外し、ＰＡＴも１本外した１年生Ｋ三輪も飛距離のあるキックをびしびしと決めていた。<br />　ところが、試合になると、その力が思うように発揮できなかった。１年生には、決定的に試合経験が不足していること、これまでは大勢の観客の注目され、失敗が許されない状況で勝負をする機会に恵まれなかったことなどが原因だろう。そのことを考えると、彼らが存分に力を発揮できなかったことには同情する。<br />　しかし、である。才能に恵まれた彼らが力を発揮し、スタメンの座を脅かすようになってくれないと、ファイターズの力は一段階上には上がれない。先発メンバーに「楽をさせ」「安心させ」ているようでは、チームの底上げはできないのである。<br />　青と赤がその誇りをかけて戦い、体と体をぶつけ合い、気持ちと気持ちを切り結ばなければならない甲子園ボウルのことを見据えると、チーム全体がもう１段階上に行き、戦う集団、炎の集団にならないと勝利はおぼつかない。これからの試合では、けが人が出たからとか、経験が少ないからとかの言い訳は通用しないのである。<br />　その点に思いを巡らせ、この日の戦いを振り返ると、本当にフットボールは難しいというしかない。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/51069304.html</link>
      <title>（３２）空に弦月、地に男前</title>
      <pubDate>Mon, 28 Nov 2011 13:38:50 +0900</pubDate>
      <description>　こういうのを男前、と呼ぶのだろう。宿敵・立命館を37－７の大差で下し、観客席に向かって整列したファイターズの面々の表情を眺めながら、そんなことを思った。　そこには、何事かを成し遂げた男のみが見せることのできる満ち足りた表情があり、自らの生き様をライバルとの死闘の中で表現し得た男のみに許される輝きがあった。　頭をつるつるにそり上げ、必死の形相で強敵に立ち向かった主将松岡、副将長島、谷山。立ち上がりからピンポイントのパスを確実にキャッチし、絶妙のランで２本のＴＤに結びつけたＷＲ..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　こういうのを男前、と呼ぶのだろう。宿敵・立命館を37－７の大差で下し、観客席に向かって整列したファイターズの面々の表情を眺めながら、そんなことを思った。<br />　そこには、何事かを成し遂げた男のみが見せることのできる満ち足りた表情があり、自らの生き様をライバルとの死闘の中で表現し得た男のみに許される輝きがあった。<br />　頭をつるつるにそり上げ、必死の形相で強敵に立ち向かった主将松岡、副将長島、谷山。立ち上がりからピンポイントのパスを確実にキャッチし、絶妙のランで２本のＴＤに結びつけたＷＲ和田。それが先制パンチとなって、相手には焦りを呼び、ファイターズには主導権をもたらせた。<br />　相手のエースＱＢに強烈なタックルを見舞たＤＢ香山はＤＢのパートリーダー。ＯＬのパートリーダーである濱本もまた下級生主体のラインを鼓舞して懸命のブロックを続け、立命の速くて強い守備陣からＱＢやＲＢを守った。チームを率いる主将、副将はもちろん率先垂範。松岡主将がホームページで宣言した「僕らの生き様を見て下さい」という言葉に結束した４年生が体を張って表現した。<br />　キッキングチームを率いる大西の冷静さも特筆される。正確無比なキックで４本のトライフォーポイントを成功させ、３本のフィールドゴールを確実に決めて得点を積み重ねた。どんなに観客席が騒いでも、相手守備陣が思い切ったブリッツに来ても、表情一つ変えず、滞空時間のあるキックや距離の出るキックを正確に蹴り分ける姿は、どれほどチームメートを落ち着かせたことか。先日の京大戦に引き続き、彼のキックとキッキングカバーチームでファイターズは終始、相手を苦しい位置からの攻撃に追いやり、味方守備陣に余裕を与えることができた。<br />　体を張って最高のパフォーマンスを見せたのは、４年生だけではない。自らをおとりにして相手守備陣を引きつけ、ぎりぎりまで我慢してパスコースが開くのを待って絶妙のパスを次々とヒットさせたＱＢ畑は、この日の主役である。彼はＱＢドローやスクランブルにも果敢に挑み、自らの足で陣地を進めた。その勇気あるプレーには、どれだけ拍手を送っても足りないほどだ。<br />　体を張るといえば、走るのが専門と思われているＲＢやレシーバーの体を張ったブロックも見応えがあった。ブロックに秀でたＷＲ小山が立ち上がり、立て続けに決めた２本のパスキャッチは、先制のＴＤにつながったし、ＷＲ梅本の的確なブロックは和田の独走ＴＤを生んだ。立命守備陣の強固な壁に、何度もぶつかっていったＲＢ望月や野々村、鷺野の果敢な挑戦は、ＴＥ金本のパスキャッチからのＴＤや望月の独走ＴＤにつながった。彼らの内一人でも、試合中にひるんだ様子を見せていたら、これらのＴＤは生まれなかったに違いない。<br />　守備陣も生き生きと動き回った。長島、梶原を中心とするラインは営々と中央を守り、２列目は川端や池田が素早い反応で相手に仕事をさせない。香山が率いるＤＢも大森や鳥内、保宗らスピードのあるメンバーが立命の攻撃陣にスピード負けせず、再三相手のパスをカットした。<br />　後半になると、インターセプトの量産。相手ＱＢが下級生に代わった隙をつき、大森、池田、保宗、重田が立て続けに４本のインターセプトを奪った。相手が素晴らしい運動能力を持った立命の選手たちということを考えると、これは特筆すべきできごとである。全員が互いに仲間を信じ、自分たちのやってきたことを信じてプレーした結果が、この成果につながったのだろう。<br />　もちろん、立命は点差以上に強かった。ファイターズが前半、立て続けに得点を挙げ、主導権を握ったからよかったものの、途中、ぐいぐい押し上げてくる迫力はただごとではなかった。アクシデントに焦らず、じっくり攻め込まれていたら、もっともっと僅差の試合になっていたに違いない。<br />　例えば、ファーストダウン獲得回数はファイターズの16回に対して立命は19回。総獲得ヤードはファイターズの397ヤードに対して立命は292ヤード。得点差が示すほどの力の差がなかったのは、こうした数字を見ればよく分かる。<br />　そんな強敵を相手にファイターズの諸君は全員、ひるまず臆さず、みんなが結束し、すべての力を発揮して戦った。こんなメンバーを男前と呼ばずになんと呼ぶべきか。<br />　試合の形勢がファイターズに傾き、グラウンドに照明がともされた頃、長居スタジアムの上空に、針のように細い三日月が上った。校章よりやや細い、その黄色い弦月を眺めていると、今季は関西学院、そしてファイターズに何かいいことが起こりそうな気がしてきた。空に弦月、地に男前。<br />　天上の三日月に張り合うのは「僕たちの生き様を見て下さい」と宣言して戦う男前の集団である。さらに朝鍛夕練。稽古を積んで、このまま甲子園から東京ドームまで、一気に突っ走ってもらいたい。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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        <item>
      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/50820849.html</link>
      <title>（３１）人が成長する瞬間</title>
      <pubDate>Wed, 23 Nov 2011 01:15:33 +0900</pubDate>
      <description>　この秋、朝日新聞出版から発行されたアエラムック「関西学院大学 by AERA」に、僕はファイターズについて、こんな文章を書いた。　「たとえ戦力的に劣っている時でも、戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきたのがファイターズであり、戦後、一貫してアメフット界の頂点を争い続けてきた唯一のチームとしての矜持（きょうじ）である。関西学院のスクールスポーツとして敬意を払われ、部員たちもそのことに特別の思いを持つ基盤はここにある」　それは例..</description>
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　この秋、朝日新聞出版から発行されたアエラムック「関西学院大学 by AERA」に、僕はファイターズについて、こんな文章を書いた。<br />　「たとえ戦力的に劣っている時でも、戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきたのがファイターズであり、戦後、一貫してアメフット界の頂点を争い続けてきた唯一のチームとしての矜持（きょうじ）である。関西学院のスクールスポーツとして敬意を払われ、部員たちもそのことに特別の思いを持つ基盤はここにある」<br />　それは例えば、今度の日曜日、長居スタジアムで相まみえる立命館との決戦を前に、ファイターズの構成員とそれに連なるすべての人々が胸に抱いている思いではなかろうか。<br />　戦力的には劣っているかもしれない。けれども「戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきた」と、チームを構成するすべてのメンバーが自信を持っていえる時、道は開ける。狭き門、試練の壁を突破することが可能になる。<br />　僕は長年、一人のファンとして、ファイターズを応援してきた。この12年間は毎年、スポーツ推薦でファイターズを志望する高校生を相手に小論文の勉強会を開き、６年前からは、毎週のようにこのコラムを書いている。「取材」と称して練習も見に行くし、合宿にも顔を出す。試合の直後、控え室に引き揚げる選手たちに声を掛け、簡単な話を聞くこともある。就職活動の相談や授業などを通して、部員の悩みを聞く機会も少なくない。<br />　こういう接し方をしていると、部員の喜怒哀楽、いろんなことが分かってくる。しっかりしているように見えても、彼らはまだ２０歳前後の多感な青年である。迷いもあれば、動揺もある。時には若気の至りというか、やんちゃな素顔も見える。悩みごとも多い。<br />　技量が思うように上達せず、落ち込んでいる選手、大事なところで失敗しないかと、どこか自信なさげな選手、逆に、どんなに緊張した場面でも、普段通り明るく振る舞える選手。必ず立ち止まって話しかけてくる選手。学業で悩みを抱えている選手。グラウンドのパフォーマンスだけでなく、練習前、練習後のちょっとした仕草にも、その胸の内が垣間見える。<br />　そういう姿を見ていると、ある日突然「この子は成長したな」と感じる時がある。表情が明るくなり、振る舞いに落ち着きが出てくる。チームの仲間に対する接し方が変わってくる。シーズンが深まるにつれて、とりわけ４年生の言動が変わってくる。コーチや監督にいわせると「まだまだですよ」といわれるが、そんなことはない。どこかで壁を突破し、一段上のステージに上ったと実感させてくれる選手が増えてくるのである。<br />　それは、当の選手が一番よく知っている。苦しい練習をやりきったとき、試合でこれまではどうしてもうまくいかなかったプレーが成功したとき、追い上げて来る後輩よりなお一段階上のプレーができたとき、あるいは大学の定期試験で成果が実感できたとき、人は自分の成長を実感できるだろう。<br />　それは、新聞記者として40数年、終始現場に身を置き、自分を鍛えてきた僕の実感でもある。日々の努力の成果は、なかなか具体的な形には表れてこない。けれども、ある日突然、頭の中でスイッチが点灯し、周囲が明るくなったような感覚に襲われることがある。あるいは、気がつけば、知らないうちに目標としていた高みに上がってしまっていた、という方が当たっているかもしれない。<br />　大切なことは、試練を試練と意識せず、努力を続けることである。たとえ目の前に巨大な壁が立ちふさがっていたとしても、決してあきらめないことである。向上心を持って、必死に足をかき、もがき続けていれば、ある時突然、目の前に大きな走路が開けていることがある。狭い門だからこそ、それを突破したときの喜びは大きい。その喜びの実感が人を成長させるのである。<br />　さきの「アエラ」の原稿で、僕は結びとしてこんな文章を書いた。<br />　「上ヶ原のグラウンドには、人を人として成長させる磁気が流れている。それは常に勝つことへの意識を高め、その圧力に打ち克とうと努力を続ける学生と、それを支える監督やコーチが醸し出すものである。草創期のメンバーが無意識のうちに埋め込んだものであり、歴代のＯＢがライバルとの戦いの中で醸成してきたものでもある。自発性を重視し、献身に価値を置くチームとしてのたたずまいがもたらせたものといってもよいだろう」<br />　「人はそれを称して伝統と呼ぶ。ファイターズにおいては、それがチームソングにある勝利者の名を誇りに思い、その名に恥じないチームとしての品性を持て、という意味につながるのである」<br />　人を人として成長させる場所。そこで鍛えた選手諸君が今度の日曜日、長居スタジアムで、誰もが驚くほど成長した姿を見せてくれるに違いない。僕はそれを確信している。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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      <link>http://a-ishii-kgfighters.sblo.jp/article/50462555.html</link>
      <title>（３０）予想という名の願望</title>
      <pubDate>Tue, 15 Nov 2011 21:25:32 +0900</pubDate>
      <description>　京大戦の朝は、５時に起きた。家人は誰も熟睡中。朝刊を読み終え、静かにシャワーを浴びて、すっきりしたところで机に向かう。その日の天候を見て、試合展開を予測し、自分が監督やコーチになったつもりで、勝手な作戦を練る。活躍してくれそうな選手の顔と名前が次々に浮かんでくる。試合当日、誰にも邪魔されたくない至福の時間が始まる。　勝手に考えた作戦は当たることもあるし、当たらないこともある。活躍してくれそうな選手が思いの外調子が悪かったり、思わぬ選手が活躍してくれることもある。誰に相談する..</description>
            <content:encoded><![CDATA[
　京大戦の朝は、５時に起きた。家人は誰も熟睡中。朝刊を読み終え、静かにシャワーを浴びて、すっきりしたところで机に向かう。その日の天候を見て、試合展開を予測し、自分が監督やコーチになったつもりで、勝手な作戦を練る。活躍してくれそうな選手の顔と名前が次々に浮かんでくる。試合当日、誰にも邪魔されたくない至福の時間が始まる。<br />　勝手に考えた作戦は当たることもあるし、当たらないこともある。活躍してくれそうな選手が思いの外調子が悪かったり、思わぬ選手が活躍してくれることもある。誰に相談することもなく、事前に誰かに打ち明けることもないから、予測が当たろうが外れようが、そんなことはどうでもよい。自分の「今日の試合はこのように展開してほしい」という願望を「作戦」と称しているだけだから、誰に迷惑をかけることもない。<br />　この「作戦」というより「願望」が、京大戦では８割方的中した。自分でも驚きながら、このコラムを書いている。<br />　まず、ロースコアのゲームになることを前提に、互いに辛抱、我慢の展開になると予想し、キッキングの出来不出来が勝敗を分けるとにらんだ。試合で目立った活躍をしてくれそうな予感がしたのは、オフェンスでは主将松岡、ＷＲ和田、小山、そしてＫ大西である。それぞれ、キッキングゲームにおいても、必ずヒーローになる場面が来るはずと、勝手な願望を付け加えた。さらに、ほんの短い時間、グラウンドに登場するであろう４年生、例えばＱＢ糟谷やＲＢ兵田らが目立つ場面が必ずあるとも予想した。<br />　デフェンスの予測が難しかった。誰もがヒーローになる可能性があるし、ひょっとしてポカをしでかす選手が出てくるのではないかという懸念も、頭の片隅にはあった。しかし、僕の頭では、どう守れば一番効果があるのか、という答えは出てこなかった。結局、つまらないことを考えるより、ＤＬ、ＬＢ、ＤＢ諸君の高い運動能力と俊敏な動きに期待しよう、相手がどんな秘策を練ってきても、誰かが必ずカバーしてくれる、大崩れはないと信じるしかない、と結論づけて、それ以上は考えるのをやめた。外野は無責任である。<br />　さて、試合である。立ち上がり、ファイターズは松岡の35ヤードリターンで50ヤードからの攻撃。先発の糟谷がいきなり中央を突破して７ヤードを獲得。味方を奮い立たせる元気なプレーである。３回のランプレーでダウンを更新すると、ＱＢ畑から小山への36ヤードのパスが炸裂、いきなり相手ゴール前４ヤードに攻め込む。<br />　ところが、ここで京大の守備陣が踏ん張る。強烈なタックルでＲＢ望月のダイブプレーを跳ね返し、残り４ヤードを守りきる。結局は大西のＦＧで３点。<br />　ランプレーに徹した京大の攻撃シリーズを全員で食い止め、再びファイターズの攻撃。今度は畑からＴＥ金本、ＷＲ和田へのパス、松岡のドロープレー、さらにはトリッキーなパスプレーなどを交えて、あっという間に敵陣21ヤード。だが、ここからが攻めきれない。大西のＦＧも失敗して無得点。<br />　第２Ｑに入って最初の攻撃シリーズもちぐはぐだった。ＱＢのファンブルで大きく陣地を失った後に、小山へのパスが成功。ようやく落ち着いたかと思った瞬間に、パスインターセプト。相手に攻撃権を奪われ、あげくにＦＧにまで持ち込まれて３－３の同点。<br />　だが、主将松岡があわやＴＤかと思わせる77ヤードのキックオフリターンでファイターズの士気を奮い立たせる。相手ゴール前20ヤードからの攻撃で畑が和田へのパスを成功させ、残り７ヤード。だが、反則による罰退などで、ここでもＴＤは取れず、大西のＦＧによる３点のみ。<br />　次のシリーズでは、キッキングチームが絶妙のカバーを見せ、京大を自陣16ヤードからの攻撃に追いやる。前半、残り時間は１分54秒。ここでファイターズベンチは３回連続でタイムアウトを要求。京大の攻撃機会を封じ、逆に自分たちの攻撃時間を確保しようと試みる。この積極的な作戦に守備陣が応え、京大の攻撃を完封して攻撃権を取り戻す。<br />　残り時間は１分54秒。ゴール前35ヤード付近からの攻撃は和田と小山へのパスで、あっという間にゴール前数ヤード。しかし、そこからが攻めきれない。通ったと思ったＴＤパスをはじいたりして、またまた大西のＦＧ。結局、前半は互いにＴＤが奪えずフィールドゴールだけの９－３。<br />　後半になっても、京大守備陣のスタミナは衰えない。攻撃陣も果敢にパスを通して攻め込んでくる。しかし、守備陣が奮起し、肝心なところは食い止める。<br />　ファイターズの攻撃陣も、京大ディフェンスの素早くて強力な守りに手を焼き、後半は３度もパントに追い込まれた。しかしその都度、大西が滞空時間の長いパントを相手陣深くまで蹴り込み、主導権は渡さない。<br />　そんな中、後半、唯一のチャンスとなった場面で、大西が47ヤードのＦＧを決めて３点を追加。キッキングチームを率いるリーダーの意地とプライドを見せつけた。<br />　厳しい状況下で、何度もスーパーキャッチを見せた和田、リターナーとしても再三、ロングゲインを奪い、士気を鼓舞した松岡らの活躍もあって、４年生が引っ張っていくチームの姿がようやく見えてきた。我慢と辛抱、勝つための高いモラルも見えてきた気がする。<br />　立命戦まで、あと10日余り。京大戦で見せた粘りと勇気を、チーム全体でさらに進化させ、決戦に挑んでほしい。<a name="more"></a>

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            <category>in 2011 season</category>
      <author>コラム「スタンドから」</author>
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